要介護認定は、申請、判定、通知という流れで行われます。
実はこの一般的な流れ以外にも、要介護認定にはいろんなシーンがあります。
このページでは、要介護認定のさまざま場面とその対応方法について説明していきます。
なお、「要介護認定の流れ」と「要介護認定の一次判定と二次判定」のページにも、要介護認定についての記事を書いているのでご参照ください。
申請した人の中には、急に状態が悪くなったから早くサービスを利用したい・退院後すぐに利用する必要があるなど、認定結果が出る30日が待てない・待つことが難しい人もいるかと思います。
認定結果は30日以内に通知されると決まっていますが、実は認定結果が出る前から、暫定の要介護区分によって介護保険サービスを利用できるようになっています。
要介護認定の判定が出ると、その認定の効力は申請した日まで遡るので、制度上は申請した時点からサービスの利用ができます。
つまり、認定結果が出るまでの期間は、暫定の介護保険資格者証と被保険者証が交付され、資格証を提示してサービスの利用ができるのです。
しかし、認定結果が非該当(自立)になった場合は、利用料を全額自己負担(10割負担)することになります。
また、想定していた要介護区分より低い(軽い)認定結果が出て、その区分の支給限度額以上のサービスを利用していた場合は、支給限度額を超えた分が全額自己負担になります。
要介護認定の通知結果の内容が、非該当(自立)の判定や、想定していた要介護度より低い(軽い)判定になることがあります。
このように要介護認定の結果に納得がいかない場合、2つの対処方法があります。
ただし、この対処方法を行っても必ず自分が納得する認定結果が出るとは限りません。
あくまでも、要介護認定の区分が変更される可能性があるということですので、注意が必要です。
1つめの対処方法は、都道府県に設置している介護保険審査会に不服申し立てをする方法です。
この不服申し立てをする期間は、要介護認定の通知結果を受け取った翌日から60日以内と決まっています。
2つめの対処方法は、区分変更の申請をする方法です。
もともと区分変更は、状態が悪くなった時など要介護の区分が変わった(重くなった)と判断した時に行いますが、要介護認定の結果に納得がいかない時も行うことができます。
要介護認定の結果が出て、介護保険サービスの利用が開始になっても、認定結果には有効期限があります。
新規申請の有効期限は6か月、更新の有効期限は12か月になっています。
利用者の状態によっては、この有効期限が短くなったり長くなったりすることもあります。
有効期限が短くなりやすいのは、進行性の疾患(末期がん)など利用者の状態が不安定で、急な変化が起こりやすいケースがあります。
有効期限が長くなりやすいのは、利用者の状態(病状)が安定しているケースがあります。
要介護認定は自動更新されないので、有効期限が過ぎると認定の効力は失われてしまいます。
つまり、保険適用での介護保険サービスを受けることができなくなるので、利用料は全額自己負担(10割負担)になってしまいます。
有効期限内に、管轄の市区町村から更新手続きの通知や要介護認定調査の実施が行われるようにはなっていますが、注意が必要です。
要介護認定は自動更新されないので、引き続き介護保険サービスを利用する場合は、更新手続きを行う必要があります。
まず、要介護認定の有効期限内に、市区町村から更新手続きについての通知が自宅に届きます。
その通知内容を参考にして、更新手続きをすすめていきます。
要介護認定の更新は、新規の申請と同じように、市区町村の窓口に必要な書類を提出します。
書類が受理されたら、要介護認定調査や主治医の意見書で一次判定が行われます。
要介護認定の有効期限内で、有効期限(更新)まで日にちがあっても、心身の状態が悪くなって、要介護の区分が重くなった場合は、有効期限を待たずに区分変更の申請を行います。
区分変更によって、新しい要介護度が重く判定されると、その分利用できるサービス内容や支給限度額が増え、より適切で手厚いサービスを受けることができるようになります。
反対に心身の状態がよくなった場合は、有効期限で更新するケースがほとんどです。
ただし、状態がよくなったからと一気にサービスを減らしすぎると、自分自身で気づかないうちに無理をしすぎたり、心身に負担がかかりすぎることも考えられます。
その結果、せっかくよくなっていた心身の状態が悪くなることもあります。
サービスを減らす場合は、少しずつ減らすなど段階的に調整する方法がよいでしょう。