介護保険サービスは、一部サービスを除いて無料で利用することはできません。
このページでは、第1号被保険者・第2号被保険者が支払う介護保険料と、介護保険料の滞納について説明していきます。
要介護(要支援)認定を受けた人が、介護(介護予防)保険サービスを利用すると、その対価としてサービスを提供した事業者に、介護報酬(サービス料金)が支払われます。
介護保険料の財源は、被保険者の負担50%・公費50%の割合です。
公費の内訳は、国25%・都道府県12.5%・市区町村12.5%の合計50%になっています。
このしくみによって、介護保険サービスを利用するときに支払う自己負担額が1~3割に抑えることができています。
介護保険料の50%、つまり半分は第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳~64歳)が支払って負担しています。
この介護保険料の負担割合は、第1号被保険者25%・第2号被保険者25%ではありません。
2018~2020年(平成30年~令和2年)では、第1号被保険者が23%、第2号被保険者が27%の保険料を納めるとなっています。
介護保険料の負担割合は、3年ごとに見直し・検討が行われています。
近年、高齢社会が急速に進んでいるので、それを支えるために第1号・第2号被保険者の介護保険料の負担額も増え続けています。
まず40歳になると、介護保険料の支払い義務が発生し、健康保険の加入者全員が介護保険に加入し、第2号被保険者になります。
実際に介護保険サービスを利用することになっても、介護保険料の支払いは免除されることなく続きます。
つまり、介護保険料の支払いは、死ぬまで生涯続くのです。
第1号被保険者の介護保険料は、自治体によって違います。
介護保険サービスの量や予算、人数など、自治体によって違うので、介護保険料の基準額も自治体によって違います。
介護保険料の基準額は、3年ごとに見直し・検討・変更が行われています。
第1号被保険者の負担能力に応じた所得段階に振り分けられ、支払う介護保険料が決まります。
第1号被保険者の負担能力とは、生活保護受給の有無、住民税の課税・非課税状況、課税年金収入額と合計所得金額の合計などがあります。
所得段階の分け方や何段階に分けるかも、自治体によって違いますが、「所得が多い人ほど多くの介護保険料を納めるしくみ」は共通です。
第1号被保険者の介護保険料は、原則として年金から天引きされる特別徴収(手続き不要)になり、年金の支払いにあわせて2か月ごとに2か月分が引かれます。
年金の額が年額18万円に満たない場合は、普通徴収になるので、自治体から送付される納入書で支払うことになります。
第2号被保険者の介護保険料は、会社員と自営業によって違います。
会社から給与をもらっている会社員の場合、介護保険料は健康保険料と一緒に、給与から天引きされます。
負担する介護保険料は、標準報酬月額を使って計算しますが、加入している健康保険によっても違います。
標準報酬月額とは、毎年4月~6月の給与額の平均した金額を、等級にあてはめて、支払う介護保険料を決めることをいいます。
ここで決まった介護保険料は、9月~翌年8月の1年間同じ金額で支払います。
自営業の場合、国民健康保険料に上乗せして、介護保険料を納付します。
負担する介護保険料は、「所得割額」「均等割額」「平等割額」「資産割額」の4つの項目によって算出されます。
介護保険料率が自治体によって違うので、自治体によって算出方法・介護保険料が違います。
介護保険料は、40歳になると支払い義務が発生し、死ぬまで生涯支払うことが決まっています。
そのため、決まった介護保険料を支払わずに滞納すると、その滞納期間によってさまざまなペナルティが発生します。
また、介護保険料を滞納して、督促状が届いてから2年が経過すると、時効により保険料が納められなくなります(未納の確定)。
滞納期間が長くなるにつれ、自己負担額が多くなり、介護保険サービスの利用自体が難しくなることも考えられます。
適切な介護保険サービスを利用するためにも、納付期限を守って介護保険料を支払うことが大切です。
1年滞納した場合、介護保険サービスを利用するときに、利用者が利用料金の全額(10割)をいったん自己負担します。
その後、利用者の申請によって介護保険給付分(9割~7割)が支払われます(戻ってきます)。
つまり、利用者が申請しなければ、介護保険給付分は戻ってこないのです。
1年6か月滞納した場合、利用者が申請によって戻ってくる介護保険給付分の一部または全額が差し止めになります。
滞納が続くと、その差し止めた分を滞納していた介護保険料にあてられることがあります(滞納している介護保険料分が差し引かれます)。
つまり、払い戻しの申請しても、介護保険給付分が戻ってきません。
2年以上滞納した場合、時効によりさかのぼって介護保険料を納められなくなり、未納が確定します。
未納期間によって、利用者の自己負担割合が3割・4割に引き上げられます。
また、高額介護サービス費の支給が受けられなくなります。
この高額介護サービス費制度は、自己負担がある一定額を超えたとき、その超えた分が払い戻され、自己負担が軽くなるしくみをいいます。