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健康状態の観察

バイタルサイン3(SPO2、意識)

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バイタルサインとは、人間が生きている状態であることを示す生命(Vital)の兆候(Sign)をいい、体温・呼吸・脈拍・血圧・SPO2・意識の測定を行ってアセスメントをします。

状態観察をするツールとして使用されるものが、バイタルサインとフィジカルアセスメントです。

このページでは、SPO2と意識について説明していきます。

なお、他のバイタルサインについては「体温と呼吸」「脈拍と血圧」をご参照ください。

また、フィジカルアセスメントについては「基本的な手技」「視診と触診」「打診と聴診」をご参照ください。

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SPO2(動脈血酸素飽和度どうみゃくけつさんそほうわど)

SPO2とは、パルスオキシメーターを使用して測定した動脈血酸素飽和度のことをいいます。

動脈血酸素飽和度は、パルスオキシメーターをつけている場所の下に流れている動脈血(赤血球)中のヘモグロビンのうち、何%のヘモグロビンが酸素と結合しているかの割合を示しています。

つまり、全体のヘモグロビンの絶対量が少なくても、SPO2が高く表示されることもあるので、注意が必要です。

測定方法

SPO2は、パルスオキシメーターを使用して測定します。

パルスオキシメーターは、経皮的に(皮膚を通して)SpO2と脈拍数を測定する赤い光のセンサー(プローブ)を、指にはさんで測定します。

SpO2 は一定時間の平均を表示しているので、装着後すぐの数値ではなく、脈拍が安定する20~30秒程度は装着したままにして数値を確認します。

また、測定部位の指先が冷えていると血流が不十分になって数値が低く表示されたり、マニキュアを塗っていると光の透過が上手くいかずに数値が低く表示される可能性があります。

そのため、測定する指先をあらかじめ温かくしたり、マニキュアをはがしたりして、正しく測定値が表示されるようにする必要があります。

なお、指先での測定が難しい場合は、耳たぶで測定することもあります。

おすすめ商品

SPO2値を測定するためには、パルスオキシメーターが必要です。

パルスオキシメーターの機械は、手軽に購入でき、測定も簡単です。

また、コロナウイルス感染症の対策として、一般の方の測定機器の購入も増えています。

正常値と異常値

SPO2は、96~99%が標準値であり、90%以下は呼吸不全の可能性があります。

呼吸不全は、心臓や脳などの重要な臓器に十分な酸素を送れなくなった状態をいい、障害を起こす可能性があるので、適切な対応が必要です。

特に、慢性の呼吸器疾患や心疾患をもつ場合は、息苦しさや喘鳴などの症状が強くなります。

呼吸不全の利用者の場合、90%以上を目標に酸素投与を行います。

標準値は人それぞれ

疾患によって、測定値が示す意味はそれぞれであるので、測定値が標準値より低い=異常ではありません。

例えば、SPO2:92%がAさんにとっては標準値内でも、Bさんにとっては息苦しく低い値になります。

利用者の疾患や程度によって、同じ測定値でも意味が違うことがあります。

その人(利用者)にとって、どの測定値までが標準値であるのか、標準値以下になった場合はどのような対応をするのかを、あらかじめ主治医に確認する必要があります。

そして、主治医に確認した内容を利用者や家族、他スタッフなどと情報共有を行います。

SPO2とPaO2とSaO2

SPO2と似たことばに、PaO2とSaO2があります。

PaO2は、動脈血酸素分圧とよばれ、動脈血中の酸素量のことをいい、採血した動脈血をガス分析で測定して値を出します。

これに対して、SPO2とSaO2は動脈血酸素飽和度とよばれ、動脈血(赤血球)中のヘモグロビンのうち、何%のヘモグロビンが酸素と結合しているかの割合を示すものをいいます。

SaO2は、採血した動脈血をガス分析して得た動脈血酸素飽和度をいいます。

SPO2は、パルスオキシメーターを使用して経皮的に測定して得た動脈血酸素飽和度をいいます。

SaO2は、SPO2よりも身体への侵襲が大きく、分析用の専用機械が必要になるので、在宅療養中にはほとんど行われていません。

そのため、普段はパルスオキシメーターを使用して測定するSPO2を用いることが多くなっています。

SPO2とPaO2の関係

SPO2とPaO2の数値は、以下のような関係をもっています。

PaO2(Torr)SPO2(%)特徴
96100
6090呼吸不全
5080
4075

意識

意識は、脳の働きが活性化し、五感の刺激を感じ取ることができる状態をいいます。

「意識がある」とは、脳で五感の刺激を認識・判断し、刺激に対して反応や行動ができる状態をいいます。

意識障害は、物事を正しく理解することや、刺激に対する適切な反応や行動が難しい状態をいいます。

意識障害を判定するツール

意識障害がある場合は、たくさんの医療従事者が関わります。

その人に関わる多くの医療従事者が、共通の認識を持って同じ視点で観察することによって、継続して観察することができます。

意識障害を判定するときは、同じ視点で継続して観察することが必要になるので、共通の評価ツールが有用になります。

意識障害を判定するツールには、「JCS」と「GCS」があります。

使用するツールを決めている病棟や施設は多いですが、基本的にどちらのツールを使用してもOKとなっています。

JCSとGCSは、脳血管障害(脳梗塞・クモ膜下出血など)や頭部外傷の急性期などで使用し、重症度や緊急度、進行度を知ることができます。

「JCS」と「GCS」の違いと特徴は、以下になります。

ツール使用時期のめやす特徴
JCS急性期・日本独自
・簡単
・呼びかけや痛みなどの刺激に対する覚醒の程度で評価
GCS急性期、亜急性期~慢性期・世界共通
・少し複雑
・開眼、発語、運動機能の3視点から評価

おすすめ商品

「JCS」と「GCS」は、同じ視点から継続して観察できる優れた評価スケールです。

どの状態がどのレベルなのかをすべて暗記することが難しい場合は、このような商品もあります。

特に新人看護師さんにおすすめです。

JCS

JCSは、Japan Coma scale(ジャパン・コーマ・スケール)、3-3-9度方式ともよばれます。

「覚醒」状態の視点から、意識障害の程度を評価します。

点数が大きいほど重症度が高いことを示します。

Ⅰ:覚醒しているⅡ:刺激すると覚醒するⅢ:刺激しても覚醒しない
1:清明とはいえない、いまいちはっきりしない10:普通の呼びかけで簡単に開眼する100:痛み刺激をはらいのける動作をする
2:時・人・場所がわからない(見当識障害あり)20:大きな声・体を揺さぶることで開眼する200:痛み刺激で手足を少し動かしたり顔をしかめる(除脳硬直含む)
3:名前・生年月日が言えない30:痛み刺激でかろうじて開眼する300:痛み刺激でも全く動かない

不穏や失禁などがある場合は、数字の後ろに「―R、I、A」を記載します。

  • R:restless(不穏)
  • I(アイ):incontinence(便・尿失禁)
  • A:akinetic mutism、apallic state(自発性喪失・無言無動)

GCS

GCSは、Glasgow Coma scale(グラスゴー・コーマ・スケール)ともよばれます。

「開眼」「言語反応」「運動反応」の3つの視点から、意識障害の程度を評価します。

点数が小さいほど重症度が高いことを示します。

正常者は15点満点になり、深い昏睡状態は3点になります。

8点以下の場合を重症度が高い、短時間で合計点が2点以上低下した場合を病態が急に悪化していると判断します。

開眼(E)
eye opening
言語反応(V)
verbal response
運動反応(M)
motor response
4:自発的に開眼する5:見当識の保たれた会話6:命令に従う
3:呼びかけで開眼する4:会話に混乱がある5:疼痛部位を認識する
2:痛み刺激で開眼する3:混乱した発語4痛み刺激から逃避する
1:開眼しない2:理解不能の音声3:痛み刺激で屈曲する(徐皮質硬直)
1:なし2痛み刺激で伸展する(除脳硬直)
1:痛み刺激で全く動かない

なお、気管挿管をしている場合は、発声することができないため、言語反応(V)には「T」と記載します。

筋トーヌスの亢進「徐皮質硬直」と「除脳硬直」

意識障害を起こすと、筋トーヌスの亢進がみられることがあります。

筋トーヌスとは、肢位を維持するために必要な骨格筋の適度な緊張のことをいいます。

普段は意識して力を入れなくても、筋肉が伸びきらないように適度に力が入る状態に制御されています。

しかし、大脳に障害が起こると、この制御がきかなくなり、筋肉が伸びきって突っ張る肢位になってしまいます(筋トーヌスの亢進)。

筋トーヌスの亢進には、徐皮質硬直じょひしつこうちょく除脳硬直じょのうこうちょくがあります。

徐皮質硬直は、大脳から間脳に障害が起きている可能性があり、上肢が屈曲内転・下肢が伸展した肢位になります。

除脳硬直は、間脳から中脳に障害が起きている可能性があり、上肢が回内進展・下肢と体幹が伸展した肢位になります。

除脳硬直は、徐皮質硬直より障害が進んだ状態で、意識の回復が難しいとされています。

まとめ

今回はバイタルサインのSPO2と意識について紹介しました。

正しい知識を理解して、早い段階で正常・異常のアセスメントができるようにしたいですね。

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