訪問看護を開始するためには、さまざまな準備が必要です。
まず前提にあるのが、訪問看護ステーションが開設されていることです。
詳しい内容については、「訪問看護ステーションの開設」のページをご参照ください。
また、「訪問看護の開始・終了・断るケース」のページでも少し触れているので、よければご参照ください。
【1件の訪問看護を開始するときに必要な7段階】
この一連の流れを踏まえて初めて訪問看護ステーションは「報酬」を得ることができます。
それでは、訪問看護を開始するために必要な7段階の準備を順番に紹介していきますね。
多くの場合、まず主治医や介護支援専門員(以下ケアマネジャー)から訪問看護の依頼を電話やFAXなどで受けます。
管理者は、依頼の目的、看護ケアの内容、利用者や家族の希望、訪問開始時期などの依頼内容を確認し、「訪問が可能」と判断した場合、訪問の依頼を受けることになります。
管理者は、訪問が可能と判断してから、正式に「依頼を受ける」と依頼相手に返事をします。
訪問が難しく依頼を断る場合も、理由を添えて断りの返事をします。
多くの場合、訪問看護開始前にはケアカンファレンスが開催されます。
ケアカンファレンスには、サービス担当者会議と退院調整カンファレンスがあります。
ケアカンファレンスでは、利用者や家族に関わる多職種(専門職)が集まって、病気や病状・治療方針の確認を行い、どのような在宅療養やケアがいいのか、サービスがいいのかなどを話し合います。
訪問看護は看護師独自の判断では行うものではなく、主治医が「利用者に訪問看護が必要である」と判断した場合にサービスが提供されます。
そのため、訪問看護ステーションは訪問看護を開始するとき、主治医が発行する訪問看護指示書の交付を受ける必要があります。
つまり、訪問看護は訪問看護指示書がないとサービスの提供ができません。
訪問看護師は、医師の訪問看護指示書をもとに訪問看護計画書を作ります。
介護保険の場合は、ケアマネジャーが作成するケアプランの内容に沿っているかも確認しながら訪問看護計画書を作ります。
初回訪問までに利用者に会う機会がない場合、訪問看護指示書やケアプラン、依頼相手や家族からの情報をもとに、大まかな計画書を作ります。
初回訪問では、特に治療方針の決定権を持つ「キーパーソンは誰か」を確認します。
キーパーソンが初回訪問時に不在の場合は、電話などによって意志を確認します。
初回訪問では、利用者と家族が困っていること、訪問看護でしてほしいこと、実現したい目標などを具体的に確認します。
訪問看護計画書の内容を一緒に確認し、不足や変更があれば追加し、同意・サインをもらって渡します。
訪問看護は、毎週〇曜日の〇時からというように、定期的に訪問することがほとんどです。
初回訪問時に、利用者・家族と相談しながら、管理者は訪問の曜日や時間を決めていきます。
【配慮すること】
人工呼吸器管理が必要な利用者、排便ケアで定期的に浣腸が必要な利用者などは、週2回・週3回訪問することが多いです。
また、開始当初は週1回の訪問であっても、利用者の状態変化やケア内容の変更がある場合は、週2回・週3回と訪問回数を増やしたり、訪問の曜日を変更したりと流動的に対応し、その時に必要なケアが行えるように調整します。
訪問看護を行っている間は、訪問看護計画書と訪問看護報告書を定期的に作成する必要があります。
作成するだけでなく、利用者や主治医・ケアマネジャーなどと情報共有も行います。
訪問看護計画書は、利用者と主治医・ケアマネジャーへ提出します。
利用者には、現在行っているケア内容の確認を行い、同意のサインをもらう必要があります。
訪問看護報告書は、主治医とケアマネジャーへ提出します。
いかがでしたか。
訪問看護を開始するためには、さまざまな準備が必要です。
【1件の訪問看護を開始するときに必要な7段階】