訪問看護師は、訪問バッグに必要なものを入れて利用者のお宅に訪問します。
「訪問バッグの中には何が入っているんだろう?」
こんな疑問を持ったことはありませんか?
私は、とても気になっていました。
いろんなものが入っている、「なんでも屋さんの魔法のバッグ」のイメージでした。
実際に働いて、いざ自分の訪問バッグを持ってみると、そのイメージはあながち間違っていませんでした。
訪問看護師はいろんなものをバッグに詰め込むので、訪問バッグはどうしても重くなってしまいます。
普段から整理せいとんを心がけて、定期的にバッグの中を確認します。
訪問バッグを気持ちいい状態に保つことは、いいケアにつながっていると思います。
【このページでわかること】
- 訪問バッグは重い?
- 整理せいとんをしよう
- 絶対に使うもの
- 生活支援で使うもの
- 医療処置で使うもの
それでは、順番に紹介していきますね。
訪問バッグは重い?
病院や施設では、ケアをしているとき、物品がなければすぐ取りにいくことができます。
訪問看護では、利用者宅とステーションの移動があります。
移動時間と距離を考えると、取りにいって戻って…をやる時間はありません。
訪問看護師は、必要なもの、必要かもしれないもの、起こりうるいろんなことを想定して準備します。
訪問バッグに入っているもの全部を使うわけじゃないけど、入っていたほうが、いざというときにすぐに対応できます。
そのため、訪問看護師はいろんなものをバッグに詰め込むので、訪問バッグはどうしても重くなってしまいます。
整理せいとんをしよう
訪問バッグにいろんなものを詰めるので、ものが多いし重くなってしまいます。
なので、ポケットやポーチで分けて整理する方法がおすすめです。
しかし、いろんなことを想定して準備しても、実際は使わないものもあります。
バッグの中がごちゃごちゃだったら、いいことはありません。
定期的に訪問バッグの整理せいとんをして、バッグの中を確認することが大切です。
絶対に使うもの
絶対に使うものは、バイタルサイン測定で使うものと記録です。
どの利用者のどんなケアの前にも、必ずバイタルサインを測定します。
そして、バイタルサインの測定値や行ったケア内容は、必ず記録として残します。
バイタルサイン測定で使うもの
バイタルサイン測定で使うものは、1つのポーチにまとめておくと使い勝手がいいです。
測定が終わったら、感染予防のために使ったものをアルコール綿で消毒してからポーチに収納します。
物品 | 詳細 |
---|---|
体温計 | デジタル式の腋窩用 |
血圧計 | 上腕式、アネロイド式など |
パルスオキシメーター | SPO2値測定 |
聴診器 | 血圧測定(アネロイド)、フィジカルアセスメントで使用 |
秒針つき時計 | 腕時計やナース用時計など→主に脈拍、呼吸、血圧測定で使用 |
アルコール綿 | 使用後の物品を消毒 |
ビニール袋 | 使用したアルコール綿を捨てる袋 |
メジャー | 腹囲測定、ふくらはぎなどむくみの評価 |
記録
バイタルサインの測定値や行ったケア内容は、必ず記録として残します。
【記録で使うもの】
- 紙(複写タイプもある)
- パソコン
- タブレット端末
- スマートフォンなど
すべてを使うのではなく、紙だけ・紙とスマートフォンの併用など、さまざまなパターンがあり、ステーションによってちがいます。
また、個人情報保護の面からも、記録で使うものはステーションから支給されることがほとんどです。
すべての利用者に使わないもの
すべての利用者に使わないものには、生活支援で使うものと医療処置で使うものがあります。
必要な生活支援や医療処置は、利用者によってちがいます。
生活支援で使うもの
生活支援は、簡単にいうと身の回りのケアです。
生活支援 | 詳細 |
---|---|
口腔ケア | 使い捨て手袋、スポンジブラシや口内保湿ジェルのサンプルなど |
服薬管理 | 薬を小分けして入れるチャック袋など |
排泄 | 使い捨て手袋、洗浄ボトル、泡石けん、おむつのサンプルなど |
清潔ケア | 爪切り・爪やすり、洗髪セット、洗浄ボトル、長靴・シャワー用エプロン、足浴バケツ、タオルなど |
スキンケア | 保湿クリーム、ワセリン、各種サンプルなど |
移動・移乗 | スライディングシートなど |
各種サンプルのパンフレット |
- 実際のケアに使うケース
- サンプルを試しに使うケース:こうゆう商品がありますよと紹介
サンプルは、メーカーから取り寄せたり、使わなくなった利用者から譲り受けたりして、獲得しています。
【タオル】
- 清潔ケア内のタオル:物品を使った後の水滴をふき取るために使うので、ステーションから持参
- 清拭や陰部洗浄で使うタオル:感染の面から利用者宅で準備
医療処置で使うもの
医療処置は、医師の指示で行う処置のことをいいます。
医療処置 | 詳細 |
---|---|
吸引 | 使い捨て手袋、吸引器、吸引チューブ、アルコール綿など |
気管切開・カニューレ | 使い捨て手袋、Yガーゼ、アルコール綿など |
人工呼吸器 | 記録用紙など |
在宅酸素療法(HOT) | カニューレの固定テープなど |
胃ろう(PEG) | 使い捨て手袋、Yガーゼやこより、洗浄ボトル、石けんなど |
在宅中心静脈栄養(HPN) | 使い捨て手袋、アルコール綿など |
血糖測定・インスリン注射 | 使い捨て手袋など |
褥瘡 | 使い捨て手袋、洗浄ボトル、石けん、カメラ、フィルム剤や保湿剤のサンプルなど |
膀胱留置カテーテル交換 | 使い捨て手袋など |
人工肛門(ストーマ)・人工膀胱(ウロストミー) | 使い捨て手袋など |
使うものは、基本的に主治医の指示であらかじめ準備や処方がされています。
- 人工肛門(ストーマ)・人工膀胱(ウロストミー)で使うもの:処方扱いではなく、利用者がメーカーに直接注文して取り寄せ
- 褥瘡ケア:悪化や治癒の状況を観察するために、できれば訪問のたびに患部をカメラ撮影して、ステーションや多職種で情報共有
【その他】
- 衛生材料:ガーゼ、包帯、医療テープ、ばんそうこう
- 駆血帯
- はさみなど
まとめ
いかがでしたか。
今回は、訪問バッグの中身を紹介しました。
訪問バッグにはいろんなものが入っているので重くなりがちです。
定期的にバッグ内を整理とんして、気持ちいい状態に保つことも、いいケアにつながっていると思います。
【訪問バッグの中身まとめ】
- 訪問バッグは重い?:必要なもの、必要かもしれないもの、いろんろなことを想定して準備するので、ものが多いし重くなりがち
- 整理せいとんをしよう:定期的に訪問バッグの整理せいとんをして、バッグの中を確認
- 絶対に使うもの:バイタルサイン測定で使うもの、記録
- すべての利用者に使わないもの:利用者によってちがう(生活支援で使うもの、医療処置で使うもの)
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